• 0.14T小型MRI(空芯電磁石)(1981年ー):東芝,東大物性研

東芝総研と共同研究を行っていた東大物性研に設置されていた0.14Tの空芯磁石を使ったプロトタイプ機.臨床用MRIの基礎となる技術の開発に活用しました.

 

  • 0.12T全身用MRI(空芯電磁石:Bruker製)(1982年ー):東芝(中央病院)

東芝中央病院(大井町)で構築した0.12Tの国産初の臨床用MRIです.右は,自作のボディ用RFコイルで撮像した自分自身のサジタル像です.

 

  • 0.7T小型MRI(鉄芯電磁石:JEOL製)(1983ー1985年):東大物性研,東芝

東大物性研で構築し,その後,東芝総研に移設したシステム.GP-IB上にUNIXミニコンとPC-8001を用いて構築.

 

  • 1.0T小型MRI(鉄芯電磁石:JEOL製)(1986ー1998年):筑波大学物理工学系

 

筑波大学における最初のシステム.VMEバス上に制御・計測システムを構築.1998年に磁石を他大学に移設.EPIによる乱流速度場計測などを行いました.

 

  • 4.7T小型MRI(縦型超伝導磁石:Oxford製)(1992年ー):筑波大学物理工学系

大学院最先端設備の予算で,89mmボア,4.7Tの超伝導磁石を導入しMRIシステムを構築しました.右の図は,パイプの中の静止水中を沈降するポリスチレン球から放出される,リング状の渦の周囲の流れを200ms間隔でEPIで可視化した画像です.このシステムは,現在でも稼働しています.

 

  • 1.5Tアドオン型MRI(全身用超伝導磁石:Philips製)(1997年ー):筑波大病院

臨床用MRIの静磁場のみを使用したMRマイクロスコープ.計測制御系をコンパクトで移動可能にしたことにより,その後のコンパクトMRIの開発のきっかけとなりました.

 

  • 1.0T永久磁石MRマイクロスコープ(永久磁石:住友特殊金属)(1998年ー):筑波大学物理工学系

臨床用MRIの静磁場は,誰でもアクセスできるとは限らないため,永久磁石を用いて構築したのが,このシステムです.このシステムは,世界初の永久磁石を用いたMRマイクロスコープです.右の画像は,50ミクロン立方で撮像されたグリーンピースのボリュームレンダリング画像です.

 

  • 0.2T踵骨骨密度計測用コンパクトMRI(永久磁石:住友特殊金属)(2000年ー):筑波大学物理工学系

踵骨を対象にして,骨密度を計測するためのシステムです.従来,骨密度は,X線や超音波で評価されてきましたが,物理的な計測量が厳密に定義されていない問題点があり,MRIはそれを解決する手法として注目されていました.右の図は,踵骨のサジタル像で,踵の周囲に,プロトン密度を評価するための密度ファントム(ベビーオイルや植物油)が設置されています.

 

  • 2.35T超並列型MRマイクロスコープ(超伝導磁石:Bruker)(2002年ー):筑波大学

京都大学の先天異常標本解析センターに所蔵されている数万体のヒト胚子標本の三次元データを取得するために開発した装置です.磁石は,筑波大学動物実験センターに設置済の室温開口径400mm,静磁場強度2.35Tの超伝導磁石で,その均一磁場内に,同時4チャンネルないし8チャンネルの超並列型グラジエントプローブを設置し,同時に計測可能なシステムにより,同時に4体ないし8体の三次元撮像を行いました(画素数128×128×256).下の図は,撮像した約1200体の胚子データからピックアップした代表的な標本のサジタル像です.

 

  • 9.4Tワイドボア縦型超伝導磁石MRI(超伝導磁石:JASTEC)(2004年ー2010年):筑波大学物理工学系

胚子標本のより高い分解能を目指して構築したシステムです.Carnegie Stage 16から22までの標本を,256×256×512画素の分解能で撮像することができました.この磁石は,短命で,数年後に,スロークエンチを起こし,その後,使用しなくなりました.

 

  • 1.0T指骨微細構造計測用MRI(永久磁石:NEOMAX)(2006年ー):筑波大学物理工学系

骨粗鬆症の早期診断には,骨密度ではなく,骨微細構造を計測すべきであるという説に基づき,できるだけ小型の装置で骨微細構造を計測することを目的として開発した装置です.右の図に示すように,中指の海綿骨の微細構造を,明瞭に描出することができました.

 

  • 0.3T関節リウマチ診断用MRI(永久磁石:NEOMAX)(2007年ー):筑波大学物理工学系

関節リウマチの早期診断と薬剤による治療効果判定などを目的とした,手の撮像に特化したMRIです.2009年には,厚生労働省から医用機器としての薬事認可を受け,医用機器として販売されることになりました.右の図は,私の左手の3Dグラジエントエコー画像から,ボリュームレンダリングによって得られた画像です.

 

  • 0.2T果実用モバイルMRI(永久磁石:NEOMAX)(2010年ー):筑波大学物理工学系

この装置は,主に,農林技術センターの梨圃場にて,梨果実を撮像するために,木村武史君と下家祐人君が開発したものです.電動台車を用いることにより,約200kgの磁石と約100kgのコンソールを,ドライバ毎運ぶことができます.上の画像は,この装置で取得した梨の断層像です.

 

  • 0.12T樹木用MRI(永久磁石:NEOMAX)(2012年ー):筑波大学物理工学系

この装置は,樹木(ケヤキ)の撮像を目的として開発したものです.磁石の重量は,約150kgですので,このように,地上から1mくらいの位置における部位の撮像が可能となりました.その後,磁石を0.2Tにアップグレード(ただし重量は約500kg)することにより,より精密な計測が可能となりました.

 

  • 9.4T標準ボア縦型超伝導磁石MRI(超伝導磁石:JASTEC)(2013年ー):筑波大学物理工学系

室温開口径54mmの縦型超伝導磁石を用いたシステムです.右の画像は,ホルマリンで化学固定されたマウス脳の40ミクロン立方の画素の画像です(TR=800ms,TE=12ms).

  • 1.5T水平開口超伝導磁石MRI(超伝導磁石:JASTEC)(2015年ー):筑波大学物理工学系

室温開口径280mm,開口長560mmの四肢用磁石を用いたシステムです.全身用MRIのミニチュアのようなシステムです.右の画像は,スライス厚2mm,面内画素80ミクロン平方の1024×1024画素のミニカボチャの画像です.かぼちゃの繊維が可視化されています.

本当に,色々なMRIシステムを作ってきました.恐らく,20台くらいのシステムを作ってきたと思います.